群馬大学医学部附属病院 認知症疾患医療センター

tel:027-220-8047 これまでの活動記録

第2回群馬大学附属病院認知症疾患医療センター研修会・合同症例検討会が行われました。

平成23年9月20日、群馬大学医学部附属病院北病棟8階・学生ゼミ室にて第2回当センター研修会・合同症例検討会が開かれました。 

田中志子先生御講演(内田病院認知症疾患医療センター長)

「訪問診療から考える認知症地域連携」 

今回は内田病院・認知症疾患医療センターの田中志子先生から「訪問診療から考える認知症地域連携」の御講演がありました。
主に利根沼田地区での認知症疾患診療に御尽力され、実地診療、特に往診から得られる認知症医療についてのお話が印象深かったです。訪問診療を通して、通院治療だけでは得られない患者の医療情報を有効に生かされている講演であったと思いました。
高齢者人口の多い地域においては、独居高齢者、老老介護の問題は深刻さを増すばかりですが、医師ばかりでなくケア・マネージャー、地域包括センター、介護サービス関係者や地域の開業医の先生方と認知症疾患センターの連携がやはり重要であると再確認させて頂きました。
テーマに応じた研究会・勉強会を開かれて、各方面のスタッフ・地域住民の意識向上にも努められ、大変に意欲的な内容で感銘を受けました。 

症例検討会(神経内科2症例)

①   症例1:言語障害より生じ,右手の動作障害がみられた63歳男性(池田): 

58歳頃から物の名前を言うことができなくなる語想起障害から始まり、徐々に記憶障害も見られるようになりました。
努力性発語、構音障害、吃音などはみられず、頭部MRI(平成20年9月)では左側頭葉前側頭部・海馬の著明な萎縮を認め、脳血流ECD-SPECTにおいても同部位の血流低下を認めました。これらの所見より意味性認知症(semantic dementia)と診断。外来通院していましたが、上記症状は悪化。さらに、以前できていた右手の巧緻運動(箸使用、シェーバー・TVリモコン操作)が拙劣になるなど日常生活動作にも支障を来してきました。
頭部MRI(平成23年1月)では前回のMRIに比べ、左側頭葉の著明な萎縮とともに左前頭葉・頭頂葉の萎縮の所見がみられました。
神経症候としては、大脳皮質基底核変性症(CBD:corticobasal degeneration)に相当する所見も併せて認められ、今後のフォローアップが必要と思われました。

②   症例2:進行性の認知機能障害を示し,歩行障害がみられた57歳女性(田代):

3年前に介護していた認知症の実母を亡くし、それを契機に前から引きこもり状態となり、その後、家事全般の支障を来す、歩きにくいなど種々の症状が出現、近医心療内科でアルツハイマー病の診断を受けドネペジル内服開始。認知症の進行が早く精査のため当科紹介受診。初診時、車椅子で来室、自発性の低下を認め、MMSE4点という状態でした。
母・祖母が認知症であったが詳細は不詳。発症年齢、頭部MRI・ECD脳血流SPECT・髄液検査からPS1変異を伴う早期発症アルツハイマー病と診断した。
福祉利用が全くなされていなかったため、介護保険導入・患者支援センター相談などの対応を早急に行いました。

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