平成30年9月16日に第24回群馬県認知症疾患医療センター研修会が行われました。
平成30年9月16日、第24回群馬県認知症疾患医療センター研修会が群馬大学医学部臨床大講堂にて行われました。池田佳生センター長の開会の辞の後、地域拠点型センターの活動報告では、最初に医療法人大誠会内田病院の田中志子先生から、行方不明のハイリスク者の静脈認証発見システム、地域で高齢者の行方不明者を減らす取り組みとして、小学生児童にも参加してもらう試みや警察や行政と連携した活動状況を説明され、地域での高齢認知症者の自動車運転についての問題点を報告されました。次いで、医療法人潁原会東毛敬愛病院の頴原禎人先生が、地域に根ざした認知症疾患センター活動として、別法人として「街の相談室アンクル」を立ち上げて、認知症予防や支援活動を行うユニークな活動の報告をされました。また東京都大田区で先行実績のある見守りキーホルダーを導入して、地域で生活する高齢者の社会参加を促して、医療介護福祉の専門職と社会資源につなげる活動も紹介されました。特別講演として、東京都健康長寿医療センター研究所の粟田主一先生が「認知症とともに暮らせる社会に向けて~コーディネーションとネットワーキング~」の演題で発表されました。高島平団地の住民を対象にした大規模な生活実態調査を基に、認知症高齢者のへのコーディネーションの必要性と有用性、また生き生きとした人間関係の中で構築される信頼関係の重要性について説明され、居場所(認知症カフェやサロン)の提供の結果、高齢者や認知症者の安心感獲得や自発性向上がみられた事例や、多職種スタッフによる連携(ネットワーキング)により実に様々な支援の取り組みが紹介されました。最後に、認知症者が尊厳と希望をもって生活するための国家的戦略としてスコットランドから発した世界に向けて発信されている人権ベースのアプローチについての説明があり、日本においても同様な動きが進んでいる報告がありました。閉会の辞として、群馬大学大学院医学系神経精神医学教室の福田正人教授より、認知症高齢者が住み慣れた場所で生活しやすい環境づくりを目指し、多くの取り組みが今後も継続し、展開されることが将来に向けて必要であると締め括られました。