第9回群大病院認知症疾患医療センター研修会・合同症例検討会が行われました。
5月15日群大病院認知症疾患医療センター研修会にて、群栄会 田中病院・認知症疾患医療センターの田中 永先生に「地域の精神科病院における認知症治療の現状」の御講演をして頂きました。
入院される家族には、希望をよく聞きたうえで、病気の説明を行い、入院の目標、退院後の方向性についてあらかじめ話しておき、入院中に生じやすい注意点についても説明してくことが大切であると話されていました。
病院には認知症治療病棟と急性期治療病棟があり、それぞれ役割分担して患者の状態に対応されているとのことでした。
なるべくデイルームを利用して日中の活動性を高め、昼夜逆転を防ぎ、夜間に熟睡できるように努められているとのことでした。
病院内外あるいは家族を通じて認知症患者の安定した精神状態を保てるように努力されている様子がよく分かりました。
後半の部では、群大精神科の米村公江先生に「うつ病?認知症?」の演題にて御講演して頂きました。いわゆるうつ症状や認知機能低下、認知症は臨床の現場で頻繁に遭遇する患者の症状ですが、場合によっては判断が困難な場合があります。
米村先生は、うつ病、認知症について実に丁寧に説明したうえで、直接かかわった症例を提示され、判断の仕方、対応方法についてわかりやすく解説されました。
高齢者において、しばしば見誤りやすいとされる仮性うつについても症例を取り上げて分かりやすく説明して頂きました。
症例によっては、うつ症状の改善ののちに認知症が発症する場合もあり、注意深く対応すべきとおっしゃられたのには印象深く感じました。
ご自身で数多くの症例をご経験され、多様な認知症患者にどのような対応をしていくべきなのかを具体的に説明され、大変に勉強になる内容で感銘を受けました。