群馬大学医学部附属病院 認知症疾患医療センター

tel:027-220-8047 これまでの活動記録

第5回群大病院認知症疾患医療センター研修会・合同症例検討会が行われました。

平成24年1月17日に第5回群大病院認知症疾患医療センター研修会を行いました。
篠塚病院・北関東神経疾患センターの田中 真先生が「当院での認知症診療の現状」として、認知症疾患における幻覚・幻視について、DLB(レビー小体型認知症)、AD(アルツハイマー型認知症)の各症例のビデオを提示され、臨床症状について参加者が供覧しました。
同じDLBの症例でみられる幻覚・幻視の内容が各症例により異なる点が大変興味深く感じました。

いずれも患者も(現実とは異なる)状況をありありと生々しく熱心に語っていることが特徴的でした。DLBの主症状である幻視だけではなく、錯視、変形視、実体的意識性、人物誤認、いわゆるCapgra症候群などの視覚認知障害の説明がありビデオにて紹介されました。
これらが被害妄想、嫉妬妄想につながっている場合もあり、興奮・暴言・攻撃的行動とつながっていくプロセスもみられるとの説明がありました。
不安・焦燥・うつが元々ある場合、また、幻覚症状の途中からこれらの症状が加わる場合もあります。幻覚や妄想もそれらのきっかけになる生活背景が存在する場合があると指摘されました。
田中先生の御講演からは患者の臨床症状をつぶさに観察し、その背景にあるものを汲み取る熱心な姿勢を感じました。 

今回の症例検討会は古田夏海先生が担当でした。症例は74歳女性です。
平成18年から徐々に進行する物忘れ、尿失禁、歩行障害を主訴に当科入院されました。
頭部MRIで著明な脳室拡大を認めましたが、特発性正常圧水頭症(iNPH)に特徴的なくも膜下腔の拡大を認めませんでした。
中脳水道に隔壁の存在があるため、元々髄液の交通障害が存在していたところに、加齢による髄液の吸収障害が加わり水頭症を発症したものと考えられました。
Tap testの施行後、症状の改善が認められ、当院脳神経外科に紹介、検討の結果、同科にてVPシャント術施行することになりました。

今回は30名を越える参加者となり、なかには廊下で聴いている先生方もいました。
また精神科、神経内科だけでなく、脳外科の先生や学生・研修医も多く出席され、議論に加わっていただきました。 


IMG_7916.12-150x150 IMG_7911.13-150x150

一覧へ戻る

PAGE TOP