第7回群大病院認知症疾患センター研修会・群馬県認知症疾患講演会が行われました。
3月18日、群馬県社会福祉総合センターにて認知症疾患講演会を行いました。一般演題三題(群大病院神経内科・池田、群馬県介護高齢課・尾池、群大病院精神科・米村)からそれぞれの報告を行いました。
特別講演として、認知症介護研究・研修東京センターの本間 昭先生から「認知症の人を支える:地域の役割」という演題の発表がありました。
発表の中では本人・家族・地域の理解が乏しいために受診の遅れの発生、かかりつけ医のスキル不足、専門医療機関における診断後の対応の問題、認知症があるために利用者を断るという介護保険事業所の問題、医療と介護とのコミュニケーション不足を挙げられていました。
これらの点について自らの事例を取り上げられ、認知症患者と患者を取り巻く様々な問題点を指摘し、その解決のための方向性を提示されました。
また一方で、地域包括支援センターからみた地域における認知症医療での問題点として、診断内容・説明・助言の不十分さ、治療対応の不十分さ、かかりつけ医と専門医の連携の不十分さが挙げられました。
認知症診療の際には、患者・家族への説明・助言ついては、十分に注意を払い、必要な内容をしっかり伝えることが重要であることを強調されました。
身体合併症や生活習慣病についても日頃から注意が必要であり、これらの疾患の治療については、大病院に通院するよりも、かかりつけ医での診療の方が効率的である点から地域医療の重要性を指摘されました。
締めくくりの挨拶として、こころの健康センター・浅見所長から、一人暮らし高齢者や夫婦ともに高齢である世帯についての医療・介護についての対応が今後も重要であり、そのためには地域の視点からのコミュニケーションや介入が重要であると述べられました。
認知症に対する理解は10年前に比べると広がりを見せているものの、個々の事例においては未だ不十分な場合が多々あるものと筆者も感じております。
今後も認知症疾患センターとして、疾患の啓発活動、病院間連携の促進、介護ケアとの連携や情報交換、かかりつけ医のスキルアップが重要な役割と考えました。